ニキビ

ニキビ

ニキビは、顔面・上胸部・上背部などの脂漏部位(皮脂分泌の多い部位)に好発します。従って、皮脂の分泌の盛んな思春期~成人期に悪化するのは周知の通りです。
原因としては、主に下記①~④が考えられています。

  1. 角化因子:毛孔周囲の角質が増殖して毛穴のつまりを引き起こします。
  2. 皮脂性因子:脂性肌体質(オイリースキン)、思春期や生理前などに皮脂分泌が多くなります。当然、不衛生(不適切な洗顔・入浴)でも皮脂は貯留します。
  3. 細菌性因子:皮脂を栄養源とするニキビ菌(acne 菌)が増殖し、炎症を引き起こします。
  4. 内分泌因子:思春期内分泌変動で血液中のアンドロゲン(男性ホルモン、特にDHT)が増加し、それが皮脂の分泌を増やします。

それぞれが単独の要因でなく、①~④がお互いに関与して相互作用を起こし、悪循環を招いてニキビを悪化させます。当院では日本皮膚科学会のガイドラインに基づいた①~④のそれぞれに対応した治療を行っています。①~③は保険診療となります。

  1. ⇒外用薬(塗り薬)ディフェリンを使用するのがグローバルスタンダードになっています。ディフェリンは「脱皮=ピーリング」作用があり、不要な角質を除去します。
  2. ⇒ビタミンB2・B6の内服(飲み薬)が皮脂分泌を減少させますが、その前に不衛生を改善する事が大切です。まず適切な洗顔指導・生活指導をした上で、それでも皮脂分泌が過剰な場合に処方いたします。まれに、適切な洗顔指導・生活指導をせずにむやみにビタミン剤を処方する医師がいますが、本末転倒というものです。
  3. ⇒軽度ならば、ダラシン、アクアチムなどの外用抗菌剤、重度ならばルリッド、ミノマイシン、ファロムなどの内服抗生剤を症状に応じて処方致します。外用剤は予防も兼ねて長期外用して全く問題ありませんが、内服抗生剤は連続最長1ヶ月程度とします。
  4. ⇒保険適応外となります。アルダクトンという本来は保険診療で高血圧に使用する内服薬が、抗アンドロゲン作用(男性ホルモンDHTを抑制する)もあり有効です。特に、フェイスライン(男性ならばヒゲ周り)はDHT支配優位と考えられていてフェイスラインの難治性ニキビに有効です。
  5. さらに重度のニキビにはロアキュタンという内服薬もあります。
    イソトレチノインというビタミンA誘導体皮脂の分泌を抑えつつ皮膚の角化を正常化する強い作用を持ちます。例えて言えば、ディフェリンやトレチノイン軟膏の内服版と考えれば良いでしょう。
    内服薬ですので肌の乾燥や、男女ともに避妊が必須(妊娠の可能性があるときは内服不可)という難点はありますが、うまく使用すれば劇的な改善が見込めます。

大切なのは、まず上記の保険診療で出来る範囲(特にディフェリン外用を中心に)で3ヶ月~半年程度、徹底的に炎症(activeなニキビ)を治療&予防をすることです。患者様の中には、保険診療を受けずにいきなり美容皮膚科を受診する方がいらっしゃいます。確かに美容皮膚科には女性の心をくすぐるメニューが数多くありますが、それらは全て自費診療ですので、長期的に見ればかなりの費用がかさみます。たとえ高額であったとしても、美容皮膚科とて魔法でなく、医学的根拠に基づいた治療を行うという意味では保険診療と変わりません。保険診療では不可能なニキビ痕(old stageのニキビ)などには自費診療(美容皮膚科)による治療が極めて有効なケースもありますが、保険による治療で充分な効果が期待できるactiveなニキビについてはまず保険診療で治療を行うのが、経済面でも患者様のメリットになると考えております。
当院では、保険診療後のオプションとして、更なる改善を求める患者様に対してより効果的な美容皮膚科メニューをご提案いたします。詳細は美容皮膚科サイトをご参照下さい。

症例写真

リスク・ダウンタイム

・上記写真は両者ともメイク無し、1カ月後。
・重大な副作用として催奇形性(胎児奇形)が高確率で発症しますので妊娠を希望している方(男女問わず)は使用できません。
・内服終了後も体内に成分が残存貯留しますので、終了後最低6カ月、できれば1年妊娠、授乳、献血は禁止です(避妊に努めてください)。
・皮膚、粘膜、表皮のはがれ、唇などの乾燥と肌荒れ。